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【80点】ノーランの”脱出”映画「ダンケルク」評価と感想

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ぱっかん
執筆者:ヘタレブロガーのぱっかん(@pakkan316

記事タイトルに「戦争映画」とは書かずに「脱出映画」と書いたのはもちろん意図してのことだ。
その理由もちゃんと解説する。

いつも通り、最初に「ネタバレ無し」の情報を書いた後、後半に「ネタバレ有り」の情報を書く。

※当記事は
「ダンケルク 映画」
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などのワードで検索される方におすすめです。

作品情報

公開年2017年
原題dunkirk
上映時間106分
製作国アメリカ
監督クリストファー・ノーラン
脚本クリストファー・ノーラン
ジャンル 歴史、アクション、戦争
主要キャスト フィオン・ホワイトヘッド(トミー)
トム・グリン=カーニー(ピーター)
ジャック・ロウデン(コリンズ)
ハリー・スタイルズ(アレックス)
アナイリン・バーナード(ギブソン)
配信サイト・媒体 市販DVD
Netflix…他
※記事公開時の情報です

あらすじ

第二次世界大戦初期の1940年5月26日から6月4日。イギリス、ベルギー、カナダ、フランスから成る連合軍将兵は、フランスのダンケルク海岸でドイツ軍に包囲され、ダイナモ作戦による撤退を余儀なくされていた。

英国陸軍の兵士であるトミー二等兵はダンケルクの街で、自身の分隊がドイツ軍の銃撃で自分以外全滅し、武器も失った状態で一人、撤退作戦中のダンケルクの砂浜にやってくる。友軍の兵士を砂浜に埋葬していたギブソンという無口な兵士と偶然出会い、行動を共にすることになる。

引用:ダンケルク (2017年の映画) – Wikipedia

基本的な主人公は、「戦地に取り残された若者の一人」である。
「一人の若者」ではなく、「若者の一人」というのがポイント。

名前こそ出てこないが、主人公の「トミー(一応役名はある)」は特にヒロイックな行動をするわけでも、仲間を積極的に助けるわけでもない。

本当に、「一人の兵士」として描かれている。

【ネタバレ無し】感想

流血シーンがほとんど無い戦争(脱出)映画だ。
確かに序盤からバシバシ人が死ぬが、「プライベートライアン(1998)」や「スターリングラード(2001)」などの有名戦争映画と比較すると、かなりマイルドな作りとなっている。

しかし、「息苦しさ」の演出は圧巻だ。
基本的な舞台が「防波堤」や「海(戦艦)」であるため、そこでの息苦しさの描き方は素晴らしい。

本作も、ノーラン監督お得意の「時間トリック」が登場する。
この「トリック」というのは決してサスペンス的な意味では無い。

序盤でテロップにて説明されるが、防波堤では1週間、海(民間救助船の上)では1日、空(戦闘機)では1時間が作品内で過ぎる。

 

「それでどうやって作品が進むの?」と思われるかもしれないが、結構シンプルな作りだ。

単純に、防波堤での最後の一日が「海」と絡み、防波堤・海での最後の1時間が「空」とも絡む。
だから映画終盤になるにつれて自ずと3つの時間軸が絡むため、終盤は凄く盛り上がる。

※次項からネタバレを含みます。

【ネタバレ有り】感想、鑑賞中に感じたこと

感想①意外と地味な作品だった

ノーラン監督の作品は、シリアス色強めでかなりリアルな描き方をするものの、実際はツッコミどころも多く、いわゆる「エンターテインメント」に振り切った作品であることが多い。

特にクライマックスにかける情熱は相当なもので、ラストの大見せ場の為にたくさんの伏線を残したり、また、考察する隙を数多く残し、鑑賞後も我々を大いに楽しませてくれる特徴がある。

しかし本作は戦争映画だ。
ノーランがヒロイックな戦争映画を作るはずが無いと知っている以上、「エンターテインメントに振り切った戦争映画では無い」と分かりきった状態で鑑賞した。

しかし心のどこかで「意外と大どんでん返しとかあったりして」と思っていた。

 

その結果、見終えた後に「意外と地味だったな」と感じてしまった。

サントラを手掛ける「ハンス・ジマー」の曲も、「インターステラー(2014)」や「インセプション(2010)」などに比べると、少し控えめな印象を受けた。(どちらもノーラン監督作品)

しかしハンス・ジマーの曲は良かったので、次項で紹介する。

感想②ハンス・ジマーの曲はやっぱり良い

本作のBGMは、まるで効果音のように控えめな曲が多かった。

当然これはノーラン監督の意向だろうが、本作との相性は抜群だったと思う。
「映画とサントラの相性」なんて、A級映画なら当然外すわけが無いが、それでも間違いなくフィットしていたのであえて特筆してみた。

そして改めて、ジマーの曲は「焦燥感(しょうそうかん)」の演出に大いに役立っていたと思う。

 

戦艦が徐々に沈んでいる時に流れていた音楽は、地味過ぎて思い出しこそできないものの、観ている間は心から素晴らしいと感じた。

感想③3つの時間軸が交差する演出が良かった

中々面白い試みだったと思う。
Wikiの解説を観たが、この手の演出法を「トリプティック」というらしい。

そして「トリプティック」というWikiページが用意されていることから、他にもその手の作品はあるようだ。
(しかしWikiページは英語版のみだった為、結構マイナーな作風らしい)

ダンケルクでは、3つの時間軸が交差する。

序盤でも軽く説明したが、本作では「防波堤」「海」「空」の3軸で物語が進む。

実際には「防波堤」の最後の一日の中に「海」と「空」の時間軸が含まれるので、もし正規の時間軸通りに脚本を組み立てたら、「海」と「空」のシーンは、映画終盤にちょこっと出るだけで終わってしまう。

しかしトリプティックを使用したおかげで、全ての時間軸を丁寧に学習し、終盤の「総合シーン」にて発生する、大きな盛り上がりに我々鑑賞者が参加することができた。

これは本当に大成功だと思う。
ノーラン監督は、時間を駆使した脚本の組み立てが本当に上手い。

※関連記事は記事の最後でまとめて紹介します

感想④ノーランフィルター?「ブルーグレイ」な世界

ノーラン作品は、なぜかすべてに「ブルーグレイ」を感じる。
ブルーグレイとはもちろん色のことだが、その色自体を映像から感じるというわけでは無い。

 

いや、見た目からも感じるのだが、作品の「トーン」からもブルーグレイな何かを感じる。

なんというか、全てが良い意味で中途半端なのだ。

ノーラン作品は、思いっきり悲しいわけじゃない。
でも思いっきりおかしいわけじゃない。
思いっきり激しいわけじゃない。

どのジャンルにも属してない微妙なラインで、凄く淡々と、でも何故か心を突き動かされながら見入ってしまう。

非常に説明し辛いのだが、ダンケルクもその「ブルーグレイな世界観」を大いに楽しめた。

感想⑤流血シーンがほとんど無い

序盤にも少し書いたが、本作は流血シーンがほとんど無い。

ここまで血なまぐささの無い戦争映画は初めてかもしれない。
人が撃たれるシーンはあるのだが、それを見て誰かが大げさに泣き叫ぶわけでは無いし、必死に血を手で抑えるシーンも無い。

 

これもまた、本作に「淡々さ」を与えている要因のひとつかもしれない。

そしてこの「淡々さ」が、僕が「戦争映画では無く脱出映画」だと認識する要因だ。

改めて考えると、本作は戦闘シーンそのものが無い。
敵国の兵士が描かれることもあるにはあるが、それは本当に僅かで、言っちゃ悪いが、まるで蝋人形のように見える。
それほど感情が伝わらないようにして描いているのだろう。

「戦闘機 vs 戦闘機」のシーン(空)も、「AIが操縦する戦闘機と戦っている」と言われても納得できるような見せ方だった。

本作の「戦闘シーンがほぼ無いこと」と、「流血シーンの無さ」が、僕が「脱出に重きを置いた映画」と思える要因だ。

考察

考察①キリアンマーフィー(謎の英兵)はなんだったのか

謎の英兵(役:キリアンマーフィー)
謎の英兵(役:キリアンマーフィー)

なんだかんだノーラン監督と5度目のタッグを組んだ「キリアンマーフィー」。
ちなみに「海」で最初に拾われる情緒不安定な兵士がキリアンだ。
作中でも名前が出てこない為、役名は無いらしい。

ダンケルクに関するあるレビューには「キリアンは悪役が多いけど、本作でもやっぱり悪役だった」と書いてあった。

確かにキリアンは悪役が多い。
しかし、ダンケルクにおいて「悪役」と呼べるかは微妙なラインだ。

確かにキリアンは、ひと暴れしたせいで一人の若者を殺してしまった。
しかしそれは事故であり、その後も彼の容態を気にするなど、しっかりと優しさを見せていた。

しかし僕は、「彼が悪役か」以上に、「何のために彼が登場したか」が気になる。
キリアンの存在は、正直「サイドストーリーの一つ」くらいにしか感じられなかった。

しかし、それがリアルなのだろう。
もしこれがヒロイックな戦争映画だったなら、序盤では活躍しなかった脇役が命がけで何かを成し遂げ、我々に安っぽい涙を流させる。

 

でもキリアンは、主人公格の若者を”事故”で殺し、そしてその仲間にその事実を隠してもらったおかげで、何も知ることなく船を降りた。

凄く大事なことだが、「彼は大丈夫か?」とキリアンが聞いた後、その”彼”は既に死んでいるのに「あぁ。」と答えた「トム・グリン」にグッと来た。

友達が死んだのに、そいつを殺した奴に向かって「大丈夫だ」と言うトムグリン
友達が死んだのに、そいつを殺した奴に向かって「大丈夫だ」と言うトムグリン

ついでにキリアンは防波堤でも登場している。
主人公含む3人が船で魚雷を食らった後、海に投げ出されるシーンだ。

主人公たちは満員の小さいボートに助けを求めるが、これ以上乗れないと「キリアン」に諭される。

「落ち着け。船はまた来る。救命胴衣は着ているか?なら大丈夫だ。」

この時のキリアンはとても落ち着いていた。

しかし、後の時間軸である「海」では、キリアンは完全に参っていた。
ということで、「この後どんな惨劇が起きるのか」というのがなんとなく予想できる。

考察②最後、毛布を渡す盲目の老人に気付かないのは何故か?

なんとかイギリスに帰国したトミー(主人公)とアレックス。
船着き場では、帰ってきたイギリス兵を迎え入れる為にたくさんの市民が親切に接してくれた。

その中に一人「盲目の老人」がいた。
彼は俯いたまま、まずアレックスに「よくやった」と言いながら毛布を渡す。

アレックスは暗く「生きて帰っただけだ」と返す。
老人は顔を上げず「それだけで十分だ」と言う。

そしてその後ろに並んでいたトミーに毛布を渡す老人。
トミーには、毛布を渡す前に一度手で顔を触っている。

 

このことから、老人は目が見えず、手で触ることでどういう相手がそこに立っているかを探っていることが分かる。

で、この老人は、登場した瞬間から誰がどう見ても盲目であると分かる。

しかしアレックスは後で、「毛布を渡したこの老人、目も合わせなかったぞ」と言う。

なぜアレックスは老人が盲目であることに気付かなかったのか?
さすがに意味があると思い考察してみた。

アレックスは、何の成果もあげずに帰国したことに後ろめたさを感じていた。
だから手に取った新聞も見出しの「戦争で撤退による勝利は無い」を読んだだけで「俺たちは糾弾される」と思い込んでしまった。

しかし後に続く「だがこの救出劇はひとつの勝利と言えよう」を聞き、そして実際に国民が自分たちを歓迎しているのに気付き、「俺たちは受け入れられている」と気付く。

この瞬間までアレックスはとても悲観的だった。
だから老人に対しても、「盲目である」と思えず、「自分たちを恨んでいる」と思い込んでいたのだ。

これは余談だが、あの盲目の老人はノーラン監督の実叔父である「ジョン・ノーラン」だ。

考察③最後に「スピットファイア(戦闘機)」を燃やしたのは何故

 

空中戦で大いに貢献した「スピットファイア」は、燃料切れにより惜しくも敵地に着陸する。

多くのイギリス兵を救ったのに、自分自身は敵地に身を置くというパイロットの覚悟には感服した。
本当にグッと来た。

さて、着陸に成功した後、パイロットはスピットファイアに火を付けていた。
そして遠い目でスピットファイアを見つめていた。

彼は何故愛機に火を付けたのだろうか?

作中で説明が無かったので迷う人も多かったようだが、それは「戦闘機が敵の資本にならないようにするため」だ。

評価・まとめ

80点

比較的淡々と当記事を執筆したが、僕はノーラン監督が大・大・大好きだ。

彼が組み立てる丁寧な脚本、”リアルに見せる描写”で作品のツッコミどころを忘れさせるテクニック。
それらを駆使し究極の映像作品を量産している。

ダンケルクも、いかにも「ノーラン監督が戦争を題材にした映画を撮ったらこうなるんだろうな」という感じだ。
そりゃそうだ。ノーラン監督が撮っているんだから。

今なら、公開からまだ1年程度しか経っていないというのにNetflixで鑑賞できる。
未見のノーランファンにはぜひ見てほしい。



Trash Area(筆者のバンド)のオリジナル曲

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